「捨てる生活」を始めたけど…
僕がミニマリズムに出会ったのは、社会人1年目の頃でした。
新しい仕事はすぐに周囲と馴染むことができ、順調なスタートでした。
でもどこかモヤっとしていて、休日になると無意味なネットショッピングをしていました。
新しい服、新しいガジェット、——今思えば、心の空白を埋めたかったのかもしれません。
部屋はどんどん物であふれていく。なのに満たされない感じがする。
そんなとき、あるミニマリストの YouTube 動画を見て
「まずは物を減らしてみよう」と思い立ったのが始まりでした。
捨てたのに、心がスッキリしない
まずは本の通りに断捨離。
着ていない服、読んでいない本、いろいろなものをどんどん手放していきました。
最初の数日は快感でした。こんなにも広かったのかと久々に部屋がすっきりとしている。
掃除も楽になり、「これがミニマルな生活をする」ということかと実感しました。
でも、不思議なことに——
1ヶ月、2ヶ月と経つにつれ、今の生活に慣れてしまったのか、満ち足りない感覚が戻ってきました。
僕が執着していたのは、「他人からの評価」だった
ミニマリズムを始めた理由も、どこかに「周りから一目置かれたい」という気持ちがありました。
「意識高いと思われたい」
「生活にこだわってる人だと思われたい」
「ちゃんとしてる人間に見られたい」
本当に手放すべきだったのは、モノじゃなくて、「見栄」や「期待される自分の像」だったんです。
「誰にどう思われるか」をやめたとき、自由になった
そこから僕は考え方を変えました。
・服は他人からおしゃれだと思うものじゃなく、自分が好きなものを着る
・毎日を「誰かのため」じゃなく、「自分のため」に過ごす
はじめは上手くいかなかったけど、何度も自分に言い聞かせるようにして
外向きの思考をやめていくうちに、徐々に自分のことが好きになれたような気がしました。
SNSを使う頻度も減り、ブランドにも興味がなくなり、
自分のために時間やお金を使えるようになりました。
いちばん最後に捨てたものが、「自分を縛っていた価値観」だった
今思うと、僕のミニマリズムは、部屋を整えることじゃなかったんです。
一番大きな変化は、「自分が何を大切にして生きたいか」に目を向けられるようになったことです。
周囲の評価を気にしてばかりだったころは、自分が何が好きなのかすらわかっていませんでした。
今でもまだ完璧に自分の好きなものがわかっているとは思っていません。
でも、今は、以前より自分で選び、自分で決める生活ができています。
おわりに
ミニマリズムは、「持ち物を減らす生活」だと思われがちです。
でも、僕が本当に捨ててよかったのは、他人の目や、期待、見栄といった「心の重荷」でした。
物理的な断捨離の先に、精神的な解放がある。
それが、僕がこのライフスタイルを続ける一番の理由です。